老人ホームというところは、いざ「入居しよう」と思ったときに初めて調べる方が多いかと思います。
探している人
老人ホームっていうけど、行ったことないし、どんなところなの?
探している人
いざ入居先を探してもどんなところを見ていいか、わからないなぁ
老人ホームというと入居する施設だということがわかりますが、
実は同じ入居をする施設でも、受けられる介護やサービス、月々にかかる費用も大きく変わります。
・介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
・介護老人保健施設
・介護医療院
・認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
・サービス付き高齢者住宅(サ高住)
などなど、上記に挙げた施設以外でもまだまだ施設の種類はあります。
介護業界で働いていても自分がどの形態の施設で働いているかを
どんな施設で働いているかを認識していない人もいます。
この記事を紹介する介護士坊は
「介護福祉士」
「介護支援専門員」
「認知症実践者リーダー研修修了者」
介護業界で20年間、さまざまな施設で働いてきた著者が
施設入所を決めるときに見るべきポイントについて
「ハード面」「ソフト面」「その他」の
3つのポイントで解説していきたいと思います。
ポイント1.ハード面(建物・設備など)
建物については、新しくできたものほどきれいなのは当たり前ですが
見るポイントは以下の通りです。
・施設は清掃が行き届いており清潔感があるか。
・設備は不良を起こしてる個所はないか。
・入居者が使うものについては適切に使えるようになっているか。
・物が乱雑に置かれていないか。
・清潔と不潔がきちんとわけられているか。
・防災設備は設置されているか。
・最新の機器が導入されているか(プラスアルファ要素)
清掃がいきとどいていて清潔であるか
もちろん建物が新しい、古いということはありますが、
生活空間がきれいになっているかを見ましょう。
入居するということはそこを終の棲家として選ぶ方が多いかと思います。
人生の終盤に快適に気持ちよく過ごすためには清潔であることは重要なポイントです。
施設内に見学に行った際は、
- 床がきれいになっているか
- 部屋のベッドの下が埃が溜まっていないか
- ベッドメイキングがきちんとされているか
- 施設内に不快に感じる臭いがしていないか
- 使用するトイレは定期的に掃除され、きれいになっているか
建物の新しい古いだけでなく清潔化どうかを見てみましょう
設備不良を起こしている個所はないか
大きな施設では総務のような部署がありきちんと管理されていますが
小規模な施設では、人件費の関係で施設管理を専門に行う部門を置くことができない場合もあります。
- 蛍光灯などの照明器具(新しい施設はLEDで切れることがないと思いますが)が切れていないか
- 扉が故障していないか
- 手すりがこわれていないか
- 窓はきちんと開けられるか
- 入居される方のプライバシーが守られるよう配慮されたつくりか
良い施設はスタッフが細かいところまできちんと設備を管理していますよ
入居者が使うものについては適切に使えるようになっているか。
入居されている方が使うものについて設置はしてあるが、
適切に使えるように置かれていないものがあります。
その施設が入居者様のことを考えて設置されているか確認をしましょう。
- ナースコールがきちんと接続されていて、手の届く位置に設置されているか。
- コップやティッシュなどの日用品がすぐに使えるようになっているか。(認知症を患い誤って食べてしまうなど危険がない場合)
- テレビ、ラジオ、冷蔵庫などを使える環境があるか。
設置してあっても使えないようになっていないでしょうか
物が乱雑に置かれていないか
談話室や浴室、トイレなど入居者が使用する共有スペースが整理されているか見てみましょう。
自分の住まいでもそうですが、物が乱雑に置かれていると動線をふさいでしまい
動きずらいことがあると思います。
高齢者のかたは、筋力の低下でふらつきがあったり、ちょっとした段差でもつまずくこともありますし
歩行器や車いすを使用しいている場合もあります。
転倒し骨折をするリスクも高いため、事故防止の観点からも
生活スペースにスタッフが業務で使う物品や、入居者が使わないものが
安全にしまわれているか、見えないように配慮がされているか確認してみましょう。
毎日、過ごす空間は整頓されている方が安全で快適ですね
清潔と不潔の物がわけられているかどうか
感染症対策のためにどこの施設も通常であれば分けていいるのが一般的です。
今はコロナ禍もあり、各施設も感染症に対して下記のような対策を行っています。
- 次亜塩素ナトリウムなど使った空間除菌
- パーテーションの設置
- 共有部分の定期的な消毒
- 常時、密にならない換気(寒暖対策をした上で)
大小にかかわらず「汚物処理室」がありしっかりと対策している施設が多いでしょう。
介護の現場では日常的に便や吐物などの「汚物」がでます。
そういった汚物をきちんと処理する手順が決まっているかどうかを聞いてみましょう。
生活空間に嫌な臭いが充満していたら不快に感じる方が多いと思います。
見学ができたら、生活する空間のにおいもチェックしてみましょう。
防災設備は設置されているか
防災設備は施設の規模によって設置義務が違っています。
設置義務がない施設でも、非常災害への対策を怠ってはいけません。
なぜならば人命にかかわることだからです。
火事・地震・水害などの非常災害が起きた時に準備を行っているか確認しましょう。
- 施設にどんな防災設備があるのか
- 非常災害時に物資が途絶えてしまったときの食べ物の備蓄はどれくらい確保しているのか
- 避難訓練は行われているか
- 非常災害時の安否確認の連絡体制はどうなっているか
- 最悪、どこかに避難しなくてはいけない場合はどうなるのか
備えには差があるものの基本的にはどの施設も義務付けられていることで必ず行っています。
最新の設備が導入されているか
これはプラスアルファの要素になりますが、
福祉機器は安心で安全、そして快適に自分らしく生活できるように
日々、いろいろな企業が開発を進めており
- 転倒してケガをしないような見守りシステム
- 入居者と職員のどちらの負担を減らすために、無駄なおむつ交換を行わないよう膀胱に尿が溜まっているかわかる機器
- 寝ているベッドの下に敷いておけば、呼吸に異常がないか、寝ているか・起きているかわかる機器など
良い機器がどんどん出てきています。
施設規模にもよりますが、こういった新しい機器を導入している施設は
少なからず、新しいことに対して、高いアンテナを張り、良い環境にしようと
努めている施設だと考えれます。
ひとつの目安として聞いてみるのもよいかもしれません。
ポイント2.ソフト面(サービスやスタッフ)
私は、施設入居する際に重要視するのはハード面よりむしろソフト面だと考えています。
というのは介護というのは「対人援助」であるからです。
人間が人間に対して行うサービスであるため、そこで働いているスタッフの性質によっては
どんなにきれいな建物で、どんなにすばらしい最先端の設備が整っていても
それを提供するスタッフが、きちんとした教育がされていない場合は
不幸にも不利益が生じる場合が多いからです。
最近でも、施設のスタッフが虐待を行っていたなど悲しいニュースをときどき聞くこともありますが、
こういった施設では間違いなくスタッフに対して教育が行き届いていないことが容易に想像できます。
ここはこの2点だけでよいので確認してみてください
・問い合わせした時に電話対応がしっかりしているか
・施設内で直接介護をするスタッフの対応について
問い合わせした時に電話対応がしっかりしているか
施設入所を考えたらまず問い合わせをしてみましょう。
その際には、ぜひアポイントを取るときの電話での対応をみてください。
【良い施設の対応】
- 明るく応対しハキハキと受け答えをする
- 「施設名」「自分が誰なのか」きちんと名乗る
- その場で解決できない問い合わせの場合は、わかるものに適切につなぐ
- 担当者が不在で対応できない場合、折り返し連絡の約束をとる
逆に担当者がいないのでわかりませんなど、応対が悪い施設には要注意です。
【悪い施設の対応】
- ぼそぼそしゃべり聞き取りずらい
- 自分が誰だかも名乗らない
- 「担当者がいないのでわかりません」といない場合での代替え案もださない
- とにかく応対するのがめんどくさそう
にわかに信じられないかもしれませんが、実際にこういう悪質な対応をする施設もあります
施設内で直接介護するスタッフの対応でチェックするポイント
受付の対応がよくても、中でのサービスがしっかりしているとは限りません。
窓口対応をする職員はだいたい愛想が良いものです。
しかし、実際に施設内で直接サービス提供をするのは介護スタッフです。
入居してから日々、関わることが多い介護スタッフについて
以下の点を確認してみましょう。
- 見学者や家族に挨拶ができるか
- バタバタ忙しそうにしていないか
- 服装や身なりが乱れていないか
- 入居されている方に対してため口やぞんざいな声のかけ方をしていないか
- 入居されている方に話すときに目線を合わせているか
- 働いているスタッフの表情が明るい
まずは挨拶ができるか、基本的なことですが大切なことです。
今の時代、コンビニや外食チェーンでアルバイトしている学生であっても
「いらっしゃいませ」と明るく元気に挨拶をしますが、
介護現場では忙しいと、そんなことですらできない環境が生まれることがあります。
介護現場では中で働くスタッフの数はその施設の考えによって大きく変わります。
当たり前ですが…
働く人数が少なければ忙しく、ゆっくりと入居者の話も聞けない
働く人数が多ければゆとりもあり、しっかりと話を聞き、きちいと要望に応えられる
どの施設も厳しい経営をしいられていますが
スタッフ数はその施設の経営者の考え方により差が生まれるところだと思います。
国が示す人員配置基準は、クリアしていて当たり前ですが、
手厚くスタッフを配置しているということは、
それだけ入居者に対してのサービスの質が担保されているひとつの目安になるでしょう。
そのほか、身なりでは介護するときに肌に当たりケガにつながるような
ピアスやネックレスなどの装飾品をつけていないか
常識的では考えられないようなド派手な服装で仕事をしていないか
入居者のかたと話すときには、座っているかたに対して上から話しかけていないかなど
スタッフが最低限の接遇マナーができているかをチェックしてみましょう。
介護サービスの基本は対人援助のプロとしての気持ちを持っているか大切です。
介護技術も大切ですが技術はあとからでも働いているうちに身に付きます。
ポイント3.その他
番外編ですが以下の点も確認してみましょう。
・立地条件
・入居後、欲しいものがある場合買い物できる施設があるか
立地条件
駅が近いか、郊外にあるか
近くに商業施設や公園があるか
周辺の喧騒ぐあいはどうか
水害や地震などの災害が起きやすい地区か
などを調べてみましょう。
施設内で買い物ができるか
最近の施設ではセブンイレブンなどコンビニがついていることがあります。
おまけ程度ですが、すぐに足りないものを買えるのはやはり便利ですよね。
そういった施設があるのかもチェックしてみても良いかもしれません。
おわりに
この記事では、20年間さまざまな形態の施設を見てきて
良い施設と、悪い施設を見るポイントについて独自の目線で書きました。
高齢者の方が、施設入居をするというのは、人生で最後となるかもしれない
終の棲家を探すという気持ちで探されるかたも大勢いらっしゃると思います。
入居してみて後悔しないように、この記事が良い施設を探す手助けになればと願っております。
- 見学ができれば必ずするとよいでしょう。(コロナ禍で行ってない施設もあります)
- 入居する本人も同行する場合は、1日に1施設、多くても2施設ぐらいまでにしましょう。
- 過度な数の見学を一気にしようとすると
- 疲れてしまい「このぐらいの施設ならいいや」と
- 妥協してしまわないよう余裕をもって、
- 入居する本人が納得できるよう時間をかけてよい施設を探していきましょう。
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